土曜外来
11月6日の新聞 (静岡・中日・読売新聞) を読んでびっくりされた方も多かろう。こちらもこの記事の内容には一言ある。 数年の準備を経て院長が英断された理由を書き添えたい。
1つに、10年も前から急性期病院には外来から入院へと比重を変換するよう厚生労働省は誘導している。背景に、総合病院への患者集中現象を現象させ、振り分けのすんだ患者の治療のための急性期病院へと転換させる必要があった。 「かかりつけ医とかかりつけ薬局を持ちましょう」 がそれである。
詳しい話になるが、診療報酬 (とは、保険診療の際に医療行為等について計算される報酬の対価で病院の収益になるもの) では、入院医学管理加算を取得するには、入院1に対して外来が1.5倍以内となっていた。 2008年の診療報酬改定では、逆紹介と退院時治癒 (退院したあと、当院に通院しなくて近医受診が可能な状態または受診自体が必要ない状態) が40%以上と変更になった。 これはつまり、急性期病院から開業医への患者の流れを誘導しており、急性期病院の勤務医負担を計ったためである。 当院では従来は入院1に対して外来は2倍以上あったが、何年もかけて比率を下げてきた経緯がある。
なぜできたか、それは病院周辺に多くの開業医が開院されたこと、地域からの紹介患者数が増加したこと、地域医療支援病院であり、急性期病院である当院はその果たす使命を理解していたことによる。
2つに、急性期病院の勤務医がどれほど過酷かご存知だろうか。 世の中が週休2日制になっても休日も夜間も自分の受け持ち患者を見回る医師の姿を知っているだろうか? 厚生労働省は12月28日 (年末のこの日の通知といったことにも驚いたが・・・) に病院宛に通知を出した。内容は、勤務医の業務負担をコメディカルや病院職員によって軽減するように、そして、看護師もその専門職としての力をもっと発揮するようにというものであった。 世の中をあげて勤務医の勤務実態を良くしようとする動きがでたのである。
3つに、当院の土曜外来の利用者数は数年を経て減少している。 近医の充実もあって、各科病棟医と救急担当医がいれば大丈夫だろうというところまできたのである。 ちなみに近医からの紹介と救急患者においては全面的に受けている。救急患者はとくに当院の使命として、過去も 現在も 未来も 行っていくことである。
といったわけで当院の土曜外来の一部診療科を除いて休診の方向性が出たのである。
厚生労働省 (報酬を定めるのは、中央社会保険医療協議会である) には年末に出した 「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」 通知で病院への努力依頼だけでなく、診療報酬にも急性期病院の医師の技術料をもっと認めて欲しいと思う。 最先端の知識・技術の習得に裏付けられ、夜間に呼び出されても医療職を選んだ人を助けたいと思うその人間性で、救急患者の命に向かい合う緊張の中で医療が行われるのである。 広く国民に知っていただければ、医療費抑制の近年の政策が間違っている方向であると理解いただけると信じている。 医療者個々の努力にだけ期待している場合ではないのである。
ちなみに当院の医師は180名ほどで、看護師は入院患者数が近隣の総合病院より多いが、7対1入院基本料が十分達成できる。 人材不足だけの視点で片付けて欲しくない。
日時: 2008年11月10日 17:14