Mikatahara Smile ~聖隷三方原病院 看護部ブログ~

総看護部長 吉村浩美の日記

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アンフィ二 掲載の紹介

日本看護連盟の機関紙「アンフィニ」に当院の腫瘍センターとがん専門看護師 佐久間さん、がん化学療法認定看護師 加藤さんが見開き4ページに渡って 取り上げられた。 「伊藤隼也が行く」のシリーズで、国内の病院・施設・地域の看護事情を紹介している。

「取材のときのお話」を紹介 

緩和ケアと化学療法が同時にできる病棟が必要 

伊藤 先ほど腫瘍センター(6階:病棟 7階:外来化学療法室)を拝見しました。ここにはどういう患者さんがいらっしゃるのでしょうか。

佐久間 病棟にいらっしゃるのは、化学療法や、緩和ケアを受けている方です。具体的には放射線治療や化学療法を受ける方、症状コントロールが必要な方、看取りの方などです。

伊藤 化学療法と合わせて緩和ケアも行っていますよね。

佐久間 病気や治療によって不快な症状、あるいは精神的な症状が出れば、それは早い段階で対応すべきだと考えています。緩和ケアのことを知っている私と、化学療法に詳しい加藤が一緒にいる意味はそこにあります。

伊藤 以前はターミナル的な位置づけで緩和ケアがなされていましたが、今は同時に行う必要性が理解された。とはいえ、医療者のなかにも緩和ケアについて「まだそんな時期じゃない」と誤解している人もいて、同時に進めるという意識が完全に定着していない。患者さんとなれば、さらに「緩和ケア=ターミナル」という方が多いのでは?

加藤 腫瘍センターでは看護師が「身体のつらさを和らげて、心身共に良い状態で治療を受けることが大切です。それには緩和ケアを並行していくことが効果的です」と意識的に説明しています。定期的に問診票を書いてもらい、緩和ケアを希望する患者さんには、緩和ケアチームや必要な専門職が介入できるように調整しています。

 知識のなさが患者の不利益に それに気付き資格を取得 

伊藤 ところで、お二人はがん化学療法看護認定看護師とがん看護専門看護師いう資格を取り、専門的な知識や技術を身につけておられますが、どういうきっかけで、がんという病気に興味を持ち、資格を取ろうと思われたのでしょうか。

加藤 私は手術室勤務が長かったので、化学療法とは縁のないところにいました。それが病棟を異動し半ば強制で(笑)出席した研修会で、化学療法や支持療法について話を聞いて、気持ちががん治療に向きました。それで半年の研修に出て、資格を取得しました。

伊藤 加藤さんは化学療法にどういうところに興味を持たれたのですか?

加藤 過去、当院の化学療法は、立ち後れていた部分がありました。それを見ていたので、化学療法は苦しいものとばかり思っていたのです。ですが、実際は積極的に支持療法を行なえば患者さんの苦痛をとることができる。そのときに知識のなさが患者さんの不利益につながっているんだって気付き、認定看護師として化学療法についてしっかり知識を得て、患者さんの看護にあたりたいと思うようになりました。

伊藤 その気持ちはとても大切ですね。佐久間さんはもともと緩和ケアの経験があったなかで専門看護師をとったので、また加藤さんとまた動機が違いますよね。

佐久間 そうですね。当院は緩和ケアへの意識が高いこともあり、どちらかというと看護師が主体で動ける環境があります。加藤のほかにも様々な認定看護師がいて、彼らと話しているなかで、患者さんをチームでケアしていくことの重要性を感じ、専門看護師をとろうと思いました。 

二人で知恵を出し合い 各科の医師が集まる場へ 

伊藤 腫瘍センターや外来化学療法室の立ち上げは、お二人がかなりがんばったと聞いています。

佐久間 病新棟ができる段階で腫瘍センターの構想はありました。その設立を私と加藤が任されました。加藤 スタッフなどが正式に決まったのは1ヵ月前でしたから、事前準備はほとんどできませんでした。

伊藤 それは大変だったのでは?

佐久間 初めはとにかく患者さんに事故がないよう、それはかなり気を使いました。ここができて2年半になりますが、ようやく軌道に乗ったという感じです。今は看護師の教育やチームとしてのシステム作りなどで、初めの1年で得たことを教訓に、戦略を立てて実践しています。

伊藤 システムと言えば、お二人は様々なマニュアルを作成したり、病院独自に副作用情報の凄い冊子(脚注をつける→抗がん剤治療の副作用からその対策まで驚くほど丁寧に編集された冊子)を作ったり。さまざまな試みをされていますよね。

佐久間 加藤が出してくれたいろいろなアイデアを私の方で整理し、筋道を付けていくことが多いですね。ここでは提案した人がそれを形にすることにしているので、副作用の冊子は加藤ががんばって作りました。伊藤 あれほど分かりやすくて充実した冊子はほかにないと思いますよ。

加藤 ありがとうございます。冊子は他科の医師にチェックしていただくなど、いろんなサポートがあってできたものなので、こうして形にできてうれしいです。

伊藤 二人が立ち上げに関わったことで、力が倍以上になった感じがしますね。専門領域が化学療法と緩和ケアと違うことも意味がありますか?

加藤 お互いの専門を脅かさないとか(笑)。

伊藤 ハハハ(笑)。この病棟は看護師が主体で動いているという点で好ましいと思うのですが、医師の協力が得にくいなどの問題はないのでしょうか。

佐久間 それについては、当初は心配でした。この病棟は化学療法と緩和ケアを受けるがん患者さん全てが集まるので、いろんな診療科の患者さんが入院しています。各科でがん治療に対する考え方が異なるため、スタッフは多様な治療をすべて覚えられるか、そういったことも不安でした。

伊藤 実際はどうでしたか?

佐久間 初めは難しかったです。ただ、私たちが困っているのをみた院長が、月に一度、各科の部長を招集する会議を開くことを決め、議題を私たちが出すということになって。少しずつ問題を解決できました。うれしいことに、今では多くの医師が必要としてくれる病棟となりました。副作用の冊子づくりに協力してくれたのもこの流れがあったからです。

加藤 おかげさまで、当院の化学療法も、様々なシステムが整い、より安全に治療できるようになりました。伊藤 お二人のがんばりもさることながら、院長も含めまわりの支援、サポートもあった。それがこうした理想的な病棟につながったわけですね。 

人工呼吸器が必要だった患者が歩行リハを始めるまでに回復 

伊藤 もう少しお二人の活動について伺いたいのですが。

佐久間 私は課長としてこの病棟全体をみているほか、一看護師としてある患者さんを担当しています。加藤は主に7階の外来を受け持ち、6階では化学療法で副作用が難渋している患者さん、治療に不安がある患者さんを看ています。

伊藤 佐久間さんが担当されているというのは、先ほどお会いした乳がんの患者さんですよね。エピソードを伺って驚きました。

佐久間 ここにいらしたときは、冬で人工呼吸器を付けるほど状態が思わしくありませんでした。

伊藤 それがい今は人工呼吸器も外れ、車イスで移動できるようになり、歩行のリハビリまでしていた。

佐久間 思いきった抗がん剤治療が奏効して。こんなに効くとは思ってもいませんでした。もちろん、子どもさんの待つ家に帰りたいという患者さんの強い意思も大きいと思います。

伊藤 確かに患者さんの努力やあきらめない気持ちもあったと思うけれど、僕は佐久間さんを初めとする医師や看護師さんの能力、さらにスタッフの対応や支援が、患者さんにとってとてもよかったと思う。「看護師の皆さんは優しくて、親切」としきりにおっしゃっていましたから。あそこまで回復したのは、皆さんの成果ですよ。

佐久間 ありがとうございます。

伊藤 加藤さんの担当されている患者さんにも話を伺いましたが、とても前向きですよね。

加藤 大腸がんの手術後にFORFOXなどの多剤併用療法をされたあと、現在はセツキシマブの治療を受けている方です。

伊藤 一見すると単なる日常会話だと思っている内容についても、アセスメントをして病状を引き出していましたね。

加藤 患者さんが日常の何気ない様子を話す中に実は重要な情報があって。生活を丹念に確認してアセスメントすることも、認定看護師としての仕事の一つだと思いますね。 

専門職として活動するのが難しい今の医療体系 

伊藤 最後に今後のお二人の目標、また今、制度的に変えてもらいたいことなど、聞かせてください。

佐久間 まず、目標は患者さん向けの化学療法教室を行うことです。病棟にいる患者さん以外に化学療法と緩和ケアについて知っていただきたいのです。また医療ソーシャルワーカーや薬剤師とも連携を組んでいきたいと思っています。制度的には、カウンセリングに診療報酬が1回認められましたが何度も関わることが普通です。また、急性期医療に限らず丁寧な心身のケアをしようとすれば71入院基本料でもマンパワーは不足しています。さらに、専門看護師、認定看護師の独自の活動を保障できる体系・制度も生み出されるよう活動したいと考えます。

加藤 私も認定看護師として病棟にできるだけいたいのですが、外来もあり、フリーで動けるのは1週間のうち1日ぐらい。それも時間も限られた中なのでたいへんです。

伊藤 僕はほかの専門看護師、認定看護師をもお会いしていますが、皆さんスペシャリストとしての役割とチームの一因としての役割、その両立に関して大変苦労されています。

佐久間 制度的には本当はもっと言いたいことがいろいろあるんですが(笑)。管理者として必要性を訴えていくことが大切なのでしょうね。

伊藤 看護師の専門性を生かしたカウンセリングなどにしても、結局のところ数字に置き換えられないから、見過ごされてしまう。そういう意味では佐久間さん、加藤さんの思いを僕も訴えていかなければならないだろうし、お二人もそれぞれのやり方で発信していってほしいと思う。がんばってください。応援しています。

 

日時: 2010年06月24日 07:13

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